
現在大阪市立美術館で開催中の「ゴッホ展ー家族がつないだ画家の夢ー」にいってきました。
本展は大阪での会期終了後、東京都美術館(上野)・愛知県美術館に巡回する予定です。
今回の展覧会は、ゴッホの名画が揃っているとは言えないラインナップではありましたが…
生前一枚も絵が売れなかったゴッホが死後、世界中で知らない人はいないほど世界の画家となった裏話を読み解けるとても興味深い展覧会でした。
私たち画商としても、とても興味深い視点であり、
今活躍している作家(プライマリー作家と呼んでいます)の作品を扱っていくにあたって、
作家の想いや個々のブランディング、世界に一つしかない作品たちをどのように・どんな方々へ届けるべきか、日々私たちも考えていますが、ヒントになるような内容が詰まった展覧会でした。
◆生前1枚も売れなかったVan Goghが世界のゴッホになった理由

彼の死後、世界の画家となった大きな要素を一言で表すとそれは、「家族の愛」です。
ゴッホは精神病やアルコール中毒などで入退院を繰り返したり、耳を切ってしまったり、といったのは有名な話ですが、
それでも絵を描き続けられたのには、弟のテオの多大な経済的・精神的サポートがありました。
画商でもあったテオですが、兄フィンセント(ゴッホ)の可能性を信じ、何よりも兄が描く絵が大好きでした。
ゴッホが生前一枚も売れなかった理由には、画商であったテオが中途半端には売れないと大事にとっておいたとも言われています。
テオは自分の息子にも兄と同じ名前(フィンセント)を名付けるほど、兄を敬愛していました。
しかしゴッホが37歳という若さで世を去ると、それを追いかけるように数ヶ月後にテオも亡くなってしまいます。
◆残された遺族に継承された「愛」

テオが亡くなった後に残ったのは、沢山のゴッホの絵画とゴッホとテオが生前ずっとやり取りをしていた手紙でした。
テオの妻・ヨーは、夫が大切に守り続けてきたゴッホの作品や遺品を大切に管理します。
そして、ほとんどの作品は手元に残し、一部を生活の為に手放すことになりましたが、ただ売るのではなく、作品を厳選し、名作は美術館に収まるように動きました。
その記録は家計簿とともに残されており、今回の展覧会にも展示されています。
また、テオの息子・フィンセントも父と母の想いを繋ぎ、オランダ・アムステルダムに(現)ゴッホ美術館を設立し、手元に大切に残していた作品や手紙等のやり取りや記録を収めました。
生前1枚も売れなかったゴッホが、今世界のゴッホで居続けているのには、後世に伝えていくための環境を、残された遺族たちが愛をもって創っていったからだといえます。
このことは他の作家にも同じことが言え、家族や財団が作家の死後、丁寧に管理していき、一つでも多くの美術館や美術展で観ることができるような環境を作っていく事が、その後のアートの歴史に名を刻む作家となるか否かに繋がってくるといえるかと思います。
◆最後に

今回の「ゴッホ展ー家族がつないだ画家の夢ー」とは別に、
今年末から来年にかけて神戸・福島・東京の3拠点で開催予定の「大ゴッホ展ー夜のカフェテラスー」が開催されます。
日本での展示は約20年ぶりの、ゴッホ《夜のカフェテラス》は一度は見るべき名作品です。
その他にも初期のオランダ時代からパリ時代、そしてアルルの時代の傑作が一堂に見れるまたとない機会で、
私たちも今からとても楽しみにしています。
大ゴッホ展をより楽しむためにも、ぜひ今開催中の「ゴッホ展ー家族がつないだ画家の夢ー」は観に行くのにおすすめです。
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