【美術館レポート】スペインの巨匠:ミロ展に行ってきました

上野にある東京都美術館で開催中の「ミロ展」、皆様はもう観にいかれましたか。

ミロの音楽が聞こえてくるようなタッチや詩情あふれる世界観が大好きで、私たちも会期が始まってすぐに行ってきました。
今回の展示会は初期の作品が多く、「ミロ好きにはたまらない、”通な展示会だなと言うのが率直な私たちの感想です。

絵画作品は、最初の印象や鑑賞者それぞれのお好みで楽しむ面もありますが、
作家や作品の背景にあるストーリーを知ってから観るとまた印象が変わり深く理解できる、
それもまた絵画の楽しみ方のひとつなのだと思います。


その中で今回は、「皆様へ、ミロ作品を観る上で何か新たな気づきを贈れたら」との想いで、
ミロについて少し紹介させていただきたいと思います。

ー日本を愛し、日本に愛されたスペインの巨匠

1893年、スペインのカタルーニャ州の裕福な家庭生まれたミロは、18歳の時に腸チフス等の病にかかり、静養中に画家になることを決意します。

ミロが生まれる5年前のバルセロナでは万博が開かれ、
画廊では日本の版画や浮世絵が多く扱われ、日本美術の輸入販売店が人気を持つ等ジャポニズムのブームが広がっていました。

そんな中で生まれ、画家を目指すことになった彼にとって、日本は切っても切れない存在でした。

ゴッホやモネもジャポニズムの影響を受けた様々な絵を残していますが、ミロは一時的な流行留まらず、生涯を通して日本の美に魅せられ、それを自分のスタイルに見事に落とし込んでいった画家だと言えます。

ー「北斎は、ただ一本の線やひとつの点に正気を与えたいと言った」by ミロ

ミロの作品は、色彩に「青」が使われているもの、作品タイトルがある(「無題」ではなく)ものが評価が高いと言われています。
それに加えて、人や動物を題材に、詩情あふれる特徴的な「線」が彼の魅力だと言えるでしょう。

視覚による「音」を見事に表現した彼の線には、日本の筆や墨が多く使われています

「花火I・Ⅱ・Ⅲ」

ー日本を夢見て50年

彼の日本文化への関心は浮世絵にとどまらず、焼き物や書・民芸品などにも及びます。
『美露』(ミロ)と彫られた雅印が押された書をプレゼントするなど、日本人作家とも多く交流を持っていました。


こんなにも日本に強い憧れを抱いていたミロですが、待望の来日を果たすことができたのは1966年、73歳の時でした。
「50年来の夢」だった初来日は、国立近代美術館で彼自身の大規模個展の開催に伴って叶えられました。

日本滞在中には、観光地巡りや日本文化の体験、これまで文通などを通して交流を深めていた日本人作家と実際に対面するなどし、2週間あまり滞在したそうです。

「太陽の前の人物」

念願の初来日を果たしたミロは帰国後、相撲や苔むした石・侍と言った日本らしい画題で版画作品を制作しました。


当時はどちらかと言うと書画や史跡などを具体的に日本文化を参照したことが明らかな作品が見られましたが、
その数年後に発表した作品からは、自らの日本での体験を完全に自分のスタイルに落とし込んでいることがわかります。

ミロの再評価が世界で進められている中、日本でも根強い人気を持ち続けているミロ。
初めての絵画にミロ作品をお求めになるお客様も多い印象です。


その背景には、ミロの日本に対する「愛」や「尊」敬の想いが色彩や線になって表現され、
知らない間にも私たちは、ミロ作品の中に親しいやすさや温かさを感じ取っているのかもしれませんね。


◆galleryKASAIでお取り扱いのあるミロ作品

ジョアン・ミロ
「人間と動物たち」

1950年 リトグラフ 75部 
直筆サインあり
画寸:76× 56.8 cm

作品詳細はこちら 〉〉


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